健康に気を使っている人の間で、よく話題になるスーパーフードという言葉。皆さんはご存知でしょうか。
最近になって海外のセレブの間で広まった言葉かと思いきや、1980年代にアメリカやカナダで食事療法を研究する医師によって広まった言葉であり、意外と歴史があるのです。
スーパーフードの定義ははっきりとしたものがあるわけではありませんが「健康に良い成分を多く含んでいるが低カロリーである食品」というのが一般的です。そんなスーパーフードの中で王様とも呼ばれているスピルリナという食品があります。
今回はスーパーフードの王様スピルリナについてどのような食品なのか、またどのような特性があるのかについて解説していきます。
まずはスピルリナという食品がどのようなものなのかについて解説をしていきます。スピルリナは塩水湖に生息する藻類の一種です。およそ30億年前に地球上に誕生したといわれています。
クルクルとしたらせん形の藻類であることから、らせんを意味するスペイン語Spiraが由来となりスピルリナと名付けられました。
このスピルリナは良質なタンパク質、ベータカロテン、ビタミン、ミネラルといった様々な栄養を含んでいることからスーパーフードの王様と言われています。
1927年にドイツの藻類学者により発見され、スピルリナという名前が付けられました。そのあと1960年代に入ると豊富な栄養素が含まれているということがわかってきます。
スピルリナについての研究が進むと、タンパク質が豊富であり、将来の食料として有用であると考えられるようになり、国際連合もスピルリナの栄養を評価しています。日本には1968年頃に伝わってきています。
研究の過程でその優れた特性が判明してから食料やサプリメントとしての利用が進んでおり、今日にいたります。
スピルリナがスーパーフードの王様とよばれる言縁となった優れた栄養効果について解説していきます。
スーパーフードと言われるからには健康な体づくりのために有用な栄養成分を多数含んでいる必要があります。スピルリナにはタンパク質、ビタミン、ミネラルといった栄養素が豊富に含まれています。他にも様々な栄養素を含んでいます。細かく見てみましょう。
まずはタンパク質です。なんとスピルリナには50%以上のタンパク質が含まれています。鶏胸肉のタンパク質含有量は25%程度であるといえば、どれだけ多くのタンパク質を含んでいるかがお分かりいただけるかと思います。
ビタミンも豊富に含まれています。β―カロテンやビタミンB1、B2、B6といった様々なビタミンを含んでいます。
ミネラルについてもみていきましょう。スピルリナ4gであれば一日摂取量の半分の鉄を摂ることができます。鉄は不足すると貧血の原因になり、特に月経のある女性では貧血の原因の多くが出血による鉄の欠乏です。日頃からスピルリナを摂ると貧血の予防になります。
また、高血圧を防ぐ効果のあるカリウム、骨を強くするのに必要なカルシウムやマグネシウム、免疫力を高める亜鉛といった豊富なミネラルを含んでいます。
そのほかにも健康な体づくりを助ける効果のある成分を多数含んでいます。まずは食物繊維です。食物繊維は小腸で消化・吸収されずに大腸まで達する食品成分です。
食物繊維は便秘の予防などの整腸作用や血糖値の上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下などの多くの効果が認められています。もともとの日本の食生活では不足することは少なかったのですが近年は食の欧米化の影響もあり、多くの日本人が不足しています。
スピルリナは食物繊維を4−8%含んでいるので不足しがちな食物繊維を無理なく摂ることができます。
γリノレン酸もスピルリナに含まれる健康成分として重要です。必須脂肪酸と呼ばれる人間の体に必要な脂質成分の一つです。高血圧の改善、脂質異常症の改善、高血糖の改善といった効果があり、不規則な生活や食生活の問題などで起こりがちな生活習慣病を予防する効果のある成分です。
また、優れた特性としてスピルリナは吸収の効率が良いということも挙げられます。スピルリナの細胞壁は薄く壊れやすいため細胞壁を壊す処置などをせずにそのまま摂取してもしっかりと栄養を吸収することができるのです。
スピルリナの健康効果については様々な論文が出ています。2013年にPharm Biolという医学雑誌に掲載された論文では糖尿病に対する効果が検証されています。マウスにスピルリナから分離されてフィコシアニンという成分を投与して体重・空腹時血糖値・24時間随時血糖値、中性脂肪、総コレステロールがどのように変化したかについて比較しています。
その結果これらの項目の改善が認められ、耐糖能(血糖値を正常に保つ能力)の向上がわかりました。これはフィコシアニンにインスリンの感受性を増強する能力やインスリン抵抗性(インスリンが効きにくくなること)を改善するという効果があるためと言われています。
また、2020年にVascular Medicineという医学雑誌にも論文が掲載されています。
高血圧のラットに対して、スピルリナの抽出物を与える群と、与えない群に分けて検証をおこなった結果、スピルリナを与えたマウスでは血管を拡張させる作用のある一酸化窒素の生成が増加していました。
この結果から高血圧に対してもスピルリナを摂ることで予防できる可能性が示されています。
スピルリナは様々な形で販売されています。料理に使う場合やアレンジをするならパウダー状のものがおすすめです。
パウダー状のものであれば料理などにさっと入れて使うことができます。例えばスムージーに混ぜたり、納豆やめかぶに混ぜて食べたりすれば自然に摂取することができます。
スピルリナは綺麗な緑色をしているため、ドレッシングやスイーツの色を綺麗に演出しつつ栄養バランスも改善するといった使い方もできます。
また海藻のような風味がありますが、味や匂いがすごく強いというわけではないので大量に入れるのでなければ色々な料理に入れて普段から摂取することもできます。
料理に入れるのがあまり好みでない・摂取量をしっかりと把握したい人にはサプリメントとして摂取するのがおすすめです。龍驤のもの・錠剤になったもの・カプセルに入ったものが存在します。
毎日決まった時間に飲むようにすれば食生活を変えずに多くの栄養素を取り入れることができます。
自分の目的や生活習慣にあった摂取方法でスピルリナの優れた特性を取り入れましょう。
今回はスーパーフードの王様とも言われているスピルリナの優れた特性について解説しました。スピルリナはタンパク質・ビタミン・ミネラルや食物繊維といった、不足しがちな栄養素を多くを含む理想的な食品の一つです。
糖尿病や高血圧といった生活習慣病になるのを予防するために役に立つということを示す論文も出ています。
不足している栄養を自分に合った摂取の仕方で無理なく取り入れることができるスピルリナはまさに私たちの健康を守ってくれる、スーパーフードにふさわしい食材と言えるでしょう。ぜひ活用してみてください。