新型コロナウイルスの流行など、感染症への対策の重要性がますます高まっています。
そんな中、感染対策と同様に、免疫力を高めることが重要になっています。
今回は免疫力UPに役に立つ成分であるフコイダンという成分について見ていきます。
「フコイダン」と聞いて、ピンと来る人はあまりいらっしゃらないのではないでしょうか。
まず、フコイダンとはどんな成分なのか、何に含まれているのかについて見ていきましょう。
フコイダンとはモズクやコンブ、ワカメといった褐藻類と呼ばれる種類の海藻から抽出される多糖類と呼ばれる物質の一種で、海藻の滑りの成分の一種です。
昔からその薬効については知られていて、発見されたのは1913年です。
スウェーデンの科学者である、H・Z・キリンによって発見されました。
このフコイダンには免疫を活性化させる作用などの様々な効果があり、健康維持に役立つことが期待されています。
元来日本では海藻は弥生時代から食されており、沖縄では古来琉球王朝時代より、薬膳料理に使用される食材としてもモズクが重用されていました。
モズクという食材は低カロリーで、ビタミンやミネラルをバランス良く含んだ非常に優れた健康食なのです。
そんな健康食品であるモズクから抽出されたのがフコイダンという成分です。
実際にどのような作用がフコイダンにあるのかは次項目以降で詳しく解説いたします。
フコイダンの効果としてよく知られているものとしては「免疫力強化作用」「アポトーシス効果」「血管新生阻害作用」があります。
一つ一つの効果について解説します。
体内には免疫を担う細胞があります。
この細胞は外部から侵入してきた細菌やウイルスなどの病原体と戦います。
また、外部から侵入してきた病原体だけでなく、体の内部から発生したがん細胞などの異常な細胞を攻撃するという役割も持っています。
体内の免疫を活性化させることで、外部から侵入した病原体のみならず、がんなどの腫瘍性の疾患にも予防的に働きます。
人間の体は莫大な数の細胞から成り立ち、その数は60兆個にもなります。
この細胞は日々新しく生まれたり、死んだりして入れ替わりながら数を保っています。
細胞はある程度古くなると自ら死を選び、古い細胞が際限なく増えて体の機能に支障をきたさないように調整されています。
この計画的な細胞死をアポトーシスといいます。
アポトーシスができなくなると古い細胞が死ななくなり、無秩序に増殖してしまい、このような細胞がん細胞とよばれる細胞になります。
アポトーシス効果はこれらの細胞にアポトーシスをもたらして無秩序な細胞増殖を抑えるという役割があります。
血管新生とはがん細胞が増殖する時に起こる、新たな血管の産生のことです。
がん細胞は無秩序に増殖するため、非常に多くのエネルギーを消費します。
このため栄養や酸素を自らに供給するための血管を作る作用があります。
この血管新生に関わる物質がVEGF(血管内皮増殖因子)です。
このVEGFという物質の発現を抑えることでがん細胞に対して栄養や酸素が供給されることを防ぎ、がんの増殖に対して抑制的に働くのです。
以上のようにフコイダンはがんに対して抑制的に働く作用を持っており、注目されている健康成分なのです。
他に期待される効能としては傷の治りを早める作用や、抗凝固作用、コレステロール低下作用、抗酸化作用などがあり、研究が進んでいます。
フコイダンの摂取量の目安は1日1000mg程度が目安とされています。
これはモズク酢やひじきの煮物で換算すると40g程度になります。
大体1パック取れば必要量を摂取できます。
おでんの昆布でも取ることはできますが煮汁の中に出てしまうので、含有量は大きく減少してしまいます。
また、スーパーなどで売っている海藻サラダなどで一度乾燥して戻しているものに関しては残念ながらフコイダンはほとんど含まれていません。
焼きのりも同様に含まれていません。
以上から1日1000mg摂取する場合はモズク酢のような形で摂取するのが最も効果的と言えます。
毎日もずく酢を食べるのは難しいという方はサプリメントで摂取するのも効果的です。
サプリメントのフコイダンは人体により吸収されやすい形になっているのでより効果的に体に取り入れることができ、摂取にも時間がかかりません。
今回は海藻由来の健康成分であるフコイダンについて解説していきました。
がんに対して抑制的に働くなど多くの健康に良い作用を持つ健康成分であるフコイダン。
食品からも摂取できますし、サプリメントなども使用して手軽に取り入れることで、健康寿命を伸ばしていきたいですね。