古くから日本人に親しまれており、国民食とも言える納豆。
その起源は諸説ありますが、弥生時代にはその原型があったという説もあります。
そんな国民食と言える納豆に含まれる成分であるナットウキナーゼが健康に良い影響を与える成分として注目されています。
今回はこのナットウキナーゼがどのような働きをするのか、またどのような健康効果をもたらすのかを解説していきます。
ナットウキナーゼとは、納豆に含まれる酵素の一種です。
ナットウキナーゼは体の中で複数の作用を示します。
1,血液が固まることによってできる血栓(血の塊)の主成分であるフィブリンに働きかけて血栓を溶解する作用。
2,血栓を溶かす作用のある酵素のひとつであるウロキナーゼの前駆体であるプロウロキナーゼを活性化する。
3,血栓を溶かす作用のある酵素の一つであるプラスミンを作り出す働きのある組織プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)を増大させる。
4,血栓を溶けにくくする血栓溶解阻害物質であるPAI−1の産生を抑制する。
これを見るとわかるように、ナットウキナーゼは血液をサラサラにする効果があるのです。
それも単に血栓をナットウキナーゼ自体が溶かすだけではなく、ナットウキナーゼの働きによって血栓ができにくくなったり、分解されやすくなる別の酵素を活性化し増大させるのです。
血栓ができてそれが血管に詰まると血中に塊ができ、この塊が血栓症を引き起こし、脳梗塞や心筋梗塞といった重大な疾患につながります。
脳梗塞を含む脳卒中は寝たきりになる原因の第一位ですので、健康に歳を重ねていくために特に予防すべき疾患です。
また、ナットウキナーゼの働きとして免疫を活性化したり、血圧を下げたりする作用も報告されています。
私たちの健康に対して大きな貢献をする成分であることがわかります。
ナットウキナーゼ の健康効果については様々な論文が報告されており、その健康効果について検証されています。
2015年にScientific Reports(※1)に掲載された論文では健康な若年男性12人を、ナットウキナーゼを投与する群とプラセボ(偽薬)を投与する群にわけて観察したところ、ナットウキナーゼを投与した群で血栓が溶解したときに増加する成分であるD-dimerやフィブリン/フィブリノゲン分解産物が増加し、血栓を溶かす働きのあるアンチトロンビンが増加したという報告がされています。
このことからナットウキナーゼは複数の、血栓の形成を阻害し、血栓を分解するメカニズムを持っているということが示されました。
また、喘息に関係する鼻ポリープに関しての論文も発表されています。
この鼻ポリープは喘息に関連すると言われていて、形成に血栓にも関係するフィブリンの沈着が関与しています。
2017年のAllergology International(※2)に掲載された論文では、この鼻ポリープの断片を生理食塩水にいれたものと、ナットウキナーゼの入った溶液に入れたものを用意し、それぞれ37℃で24時間保温したところ、ナットウキナーゼの入った溶液に入れていた方ではフィブリンが分解されることによって鼻ポリープが縮小したということが報告されています。
このようにナットウキナーゼに関する研究はいくつも出ていて、様々な観点から健康に対して良い影響をもたらすということがわかっています。
(※1)https://www.nature.com/articles/srep11601
(※2)https://www.jstage.jst.go.jp/article/allergolint/66/4/66_594/_article/-char/ja/
ナットウキナーゼに関する情報を発信している日本ナットウキナーゼ協会(http://j-nattokinase.org/index.html)によると1日のナットウキナーゼの摂取目標は2000FU(FUとはナットウキナーゼの活性を示す単位です)とされています。
一般的な納豆1パックにはナットウキナーゼはおよそ1500FU程度含まれており、1日1-2パック程度が摂取量となります。
ただし、納豆には血栓を溶かす作用とは逆に血栓を溶かすのを防ぐ作用のあるビタミンKも含まれているので、血栓を溶かす効果をしっかりと発揮したい場合にはサプリメントなどでナットウキナーゼなどを摂取することが推奨されています。
また、免疫を活性化する効果を発揮しようと思うと1日4000FUの摂取が推奨されています。
納豆が好きであれば摂れる量ではありますが、毎日2パックは難しいという方はサプリメントなどを有効活用しましょう。
今回は納豆に含まれる健康成分であるナットウキナーゼについて解説しました。優れた健康効果を発揮するナットウキナーゼ。
ぜひ日常生活に取り入れて健康維持に役立ててみてください。